褐色のパティーヌを施したこの魅力的なブロンズ像は、音楽家としてのピエロを表しており、生き生きとした軽やかな一瞬を捉えた作品です。やや前傾みに身を傾けた人物は、マンドリンを胸に抱き、かの有名なメロディー《Au clair de la lune》を歌っており、その曲名はテラス部分に刻まれています。半開きの口と持ち上がった眉が印象的な表情豊かな顔は、民衆演劇の象徴的な人物であるピエロに宿る、甘く哀愁を帯びた情感を余すところなく伝えています。
幅広のひだ飾り襟、ゆったりとしたズボン、やわらかな帽子からなるピエロの伝統的な衣裳は、精緻なモデリングによって巧みに表現されています。存在感にあふれ、ひときわ魅力的なこの彫刻のテラス部分には Bouret の署名が刻まれており、19世紀末に詩情豊かで感傷的な人物像で名を馳せた彫刻家、ウトロープ・ブーレ(Eutrope Bouret、1833‑1906)への帰属を裏付けています。
このブロンズ像は、優美で演劇的なモティーフを好んだベル・エポック期の趣味を見事に体現しています。装飾ブロンスのコレクションにも、詩情と郷愁を求めるインテリアにも、等しく馴染む一点です。